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eremo phila nivea

(砂漠に咲く花)If you can dream it, you can do it.

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短大時代に書いた小説シリーズっす^^

見ると今の佐藤氏には書けない内容で心底、驚いたぜ!!!←

たぶん、こーいう文章はきっと、最初で最後だと思うから何かしらの感想をいただけたらと思いつつ、誰も見てないなと思う今日この頃(笑)

拍手[1回]

ねぇ、キミ。 ジンジャーエールって飲んだことある?
 
寒空の中、足早に歩いていると見知らぬ声が私を呼びとめる。
 
なんだろうなんて品定め的な余裕もなく、反射的に後ろを向くと男の人が笑顔で立っていた。
 
ぼんやりとした道が急に眩しくなる。 雪は変わりなく、舞っているのに。
 
気がつけば、時間が止まったかのように私の足も止まっていた。
 
見とれていたのだろうか?
 
そんな事を思いながらも私は不審げにその男をじっと見つめる。
 
男は私の様子に戸惑い、何かを思案しているかのように黙り込んでいた。
 
その間、暗い顔をした人達が冷たい息を吐きながら足早に通り過ぎていった、さも、迷惑そうに。
 
私は時折、手を自らの息で温めながら、未だに黙っている彼を上から下まで遠慮なく眺めた。
 
ストロベリーブロンドの髪に透きとおるような白い肌、そして、その目はライトブラウンとダークグリーンが混ざったような奇妙な色をしていた。
 
私は珍しいその瞳にくぎ付けになったと同時に聞きたくなった。
 
だから、私は目の前で未だに困っているその人を助けるかのように声をかけた、そう、仕方なく。
 
「あの・・・ヨーロッパの方、ですか?」
 
私が言うや否や、彼は予期せぬ言葉に戸惑っているようだった。
 
私は彼が口を開く前に言葉を続ける。
 
「ち、違ってたら・・・ごめんなさい。目がヘーゼルだったから、そうかなと思って」

「・・・・・へーゼル?」
 
彼は目をぱちくりしながら私に問いかけた。
 
どうやら、違ったらしい。
 
「あ、違いましたか・・・」
 
間違ったことが少しだけ恥ずかしくなった私は携帯を取り出すふりをして、自然に目線を彼から逸らす。
 
そして、携帯を取り出したついでに時間を確認する。
 
携帯が放つ人工的な光に目を細め、時刻を見ると10分以上、話し込んでいるようだった。
 
思えば、さっきより人影は少なくなってきている。
 
寒さでかじかむ手をそっと温めていると彼が恥ずかしそうに言った。
 
「あの・・もし、時間があったら・・僕に付き合ってくれませんか?」
 
彼の目を見ながら、私はそれに静かにそっと頷いた。
 
なぜか、私には彼が怪しい人のようには思えなかった。
 
少しだけ駅から歩き、私たちはファミリーレストランというものに入る。
 
店内に入ると暖かい風と楽しげな雰囲気が流れ込んでくる。
 
そして、瞬時にいらっしゃいませというお馴染みの声が聞こえ、すぐさま、「何名様ですか?」という声がかけられる。
 
その瞬間、彼は笑顔で「二人です」と答えた。
 
その様子は今まで見た誰よりもカッコよく見えた。
 
私がぼんやりしていると彼が「ほら、行こう?」と声をかける。
 
私は顔を赤くし慌てながら、席に着くとメニューをそっと手渡してくれる。
 
「あ、ありがとう・・・・・」
 
頬を染めた私に彼は優しく微笑んだ。
 
思うに私の頬の変化に気がついていないようだった。
 
彼はメニューをぱらぱらとめくった後、顔を上げ、私に言う。
 
「僕はジンジャーエールを頼むけど、キミは?」
 
「わ、私はミルクティーで」
 
「そう。じゃあ、頼むよ」
 
彼は静かに手を上げ店員を呼び、ジンジャーエールとミルクティーを頼む。

テーブルには店員を呼ぶボタンがぽつんと役目を果たせずに縮こまっているように見えた。

 
飲み物がくるまでの数分間、私達はたわいのない話をした。
 
彼はどんな話をしても優しく笑ってくれた。
 
彼の目は店内のライトに照らされる度、違う色を放つ。
 
そして、店員が私たちが頼んだ物を復唱しながら、テーブルにジンジャーエールとミルクティーを置く。
 
置き終わり、店員はお決まり的に「ごゆっくり」と笑い、コツコツと音を立てながら離れていく。
 
私と彼はそれらにそっと口をつける。
 
「あの、ヘンな質問かもだけど・・・どうしてジンジャーエールなの?」
 
私はずっと思っていたことを口にするのだった。
 
すると、彼はストローをそっと離し、ふにゃりと笑い、へんてこな事を言う。
 
「簡単に言うと実は僕、人魚なんだ。で、わけあって人間になった先輩がジンジャーエールっていう飲み物がとてつもなく、美味しいって僕に言うわけ。で、是非飲んでみたくなってね。あ、ちなみにこの足はレンタルなんだ。お金がなくて一日しか交換できなかったけど」
 
「えーと・・・・」
 
私は困ったように彼を見つめた。
 
すると、彼はどうしたものかと思案しているようだった。
 
私はというとそのまま、彼をじっと見つめていた、そう、何も言わずに。
 
私は彼の透きとおった目を見ていると不思議なことにだんだん、それが本当のように思えてくる。
 
だから、私は彼の言葉を信じることにしてみた。
 
「・・・あなたのところには・・・ジンジャーエールは無いの?」
 
ふいの言葉に彼は一瞬、驚いた後、穏やかに笑う。
 
「うん、ないよ。似たような飲み物はあるけど、ジンジャーエールは無いんだ」
 
「へぇ・・・で、初めて飲んだジンジャーエールの味はどう?」
 
「んー・・・こんなもんかなって感じ」
 
少しだけ残念そうに見えたが、彼は満足しているようだった。
 
「そっかー」
 
「うん」
 
そして、彼は空になったカップをちらりと見た後、出ようかと笑顔で告げた。
 
それに対し私は頷き、静かに店を後にした。
 
駅までの帰り道、私たちは一言も話さなかった。
 
聞こえるのは冷たい足音だけだった。
 
黒い空は止まない雪と混じり、私の頬と手を赤く染めた。
 
それから、彼に会うことは決して無かった。
 
                                          Fin
 
何これ? てか、ヘーゼルってなんや? 短大の頃の方が賢かったのかしら・・・・www

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1988/12/30
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